技術情報

アストロカブ代表が行った開発、研究の事例

〇超小型衛星用宇宙通信システム

 独自に開発した極軌道衛星用高性能2.4m直径X-band通信アンテナシステムを日本の先進的な超小型衛星Hodoyoshi-1,Hodyoyoshi-3,Hodoyoshi-4,WNISAT-1RのX-bandデータ取得用として応用しました。アンテナシステム、軌道予測演算、自動追尾アルゴリズム、データ取得、システム運用など今までに行ってきた研究成果のすべてを応用した代表例です。

ほどよし衛星以外にも、日本の有名大企業が製作した超小型衛星地上システム用として共同研究を行い、超小型衛星の地上系システムの開発をバックアップしています。

Hodoyosi衛星に関する研究は、東京大学 中須賀研究室ならびに、株式会社アクセルスペース社と共同研究で実施しました。

WNISAT-1R衛星に関する研究は、株式会社ウェザーニューズ社との共同研究で実施しました。上記画像は、超小型衛星Hodoyoshi-1で 観測された富士山です。 観測日2015-12-29 02:09UTC ©Axelspace Corporation CC BY-SA 4.0

〇Landsat-8 データの取得システムの研究開発

Landsat-8 Satellite

 アメリカUSGSが運用する世界で最も長い歴史を有する大型陸域観測衛星ランドサットの最新機Landsat-8号のリアルタイムデータ取得国際受信局として、データの受信および、Level-1B等の高次処理を高速に行う大型衛星用の地上システムの構築、運用を行いました。研究機関が独自に大型地球観測衛星の地上処理システムを構築、運用した世界初の試みです。
 

 本研究は、産業技術総合研究所の委託研究によって実施されたものです。システムの詳細はこちらをご覧ください。観測画像はこちらよりご覧いただけます。


〇高性能X-band通信用アンテナシステムの研究開発

 宇宙機、人工衛星で観測されたデータを地上に送信する周波数はUHF-band(470MHz), S-band(2.1GHz), X-band(8.2GHz,8.4GHz)などが使用されています。近年では宇宙機、人工衛星の大データ量化にともなって高速通信に適したX-bandが主に使われるようになってきました。極軌道衛星との通信は、位置が刻々と変化する宇宙機、人工衛星の位置に対してビーム幅約1度の地上アンテナを正対させ続ける制御を行わなくてはなりません。これには宇宙機、人工衛星の精密な位置決定、精密な軌道予測演算アルゴリズムの使用、ソーラープレッシャ、地球回転パラメータによる自転補正、ジオイドモデルに基づく地球重力補正、瞬時うるう秒補正などの高度な物理定数の使用、軌道予測モデルの熟考が必要です。

 また予測モデルでは、予測不能な誤差を補うために、地上アンテナに到達した衛星信号を教師データとして、宇宙機、人工衛星の実位置をリアルタイムに補正しながらアンテナを駆動する方法(オートトラッキング)の採用が高品質なデータ取得には必要です。

 従来は、これら必要不可欠な要素をハードウェア装置として実装しており、複雑、大型、高価になっていました。この問題を解決するために、それぞれの要素をソフトウェアとして実現可能なアルゴリズムを研究し、高性能衛星追尾システムとして実現しました。

 従来の10m級のアンテナと同等のデータ取得を2.4m級のアンテナで実現しています。実現コストも従来の1/3以下です。大型衛星Landsat-8, TERRA, AQUA, AURA, Suomi-NPP, JPSS-1 (NOAA-20), 超小型衛星Hodoyoshi-1, Hodoyoshi-3, Hodoyoshi-4, WNISAT-1R用として運用実績があります。

 

〇プログラマブル・ダウンリンクデータフォーマッタ

 

技術情報1

 人工衛星のデータを地上で処理するために使用されるデータ処理装置を、超高速処理性能を保ったまま、さまざまな人工衛星に対応するように最適化した最初のシステムです。現在運用が行われている日本の人工衛星の地上処理系ではこの方法が数多く採用されています。

〇ダイレクトダウンリンク・データフォーマッタ

技術情報2

 コンピュータソフトウェアの並列処理機能を積極的に利用した高速処理性と、より高い汎用性を実現した人工衛星のデータ処理装置です。日本の地球観測衛星MOS-1,MOS-1B,JERS-1,ADEOS 等のデータ処理用として実現しました。近年では、世界中の人工衛星の地上処理系でこの方法が採用されています。